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江戸っ子を称

  
「ちょいとあのお兄さん、イナセだね~」
などと言うと、気っぷのいい江戸っ子が思い浮かぶ。

鯔背の語源は、「鯔背銀杏(いちょう)」という髪型に由来するそうだ。
魚のボラのことを江戸の言葉でイナと呼び、髷がボラの背の形に似ている。
その発祥は、江戸時代の日本橋魚河岸あたりの若者がしていたヘアスタイル。
当世の髪型にも色々あるが、た雋景とえば、
モヒカン、ソフトモヒカン、アフロ、パンチパーマ、角刈り、GI カット、ケネディカットなどがある。

挙げてみたが、どれもチト古い。
『鯔背』に、一番ふさわしいのは、リーゼントのイメージだろう。
このイナセな若者、
冬でも薄着で過ごしたり、ちょいとやせ我慢の伝統がある。
風呂に入る時には、煮えたぎるような熱い湯にしか入らない。
そばを食べる時には、つゆにつけるか つけないか程度でズルズルっと食べてしまう。
曲がったものが嫌願景村いで、
水道の蛇口が曲がっているところが気にくわね~と言ったりする。

司馬遼太郎『竜馬がゆく』の中で、新撰組の藤堂平助という江戸っ子の人物を登場させ、
同じ北辰一刀流門下の竜馬を助ける役としていた。
江戸っ子らしい特徴を持っている。

また夏目漱石の親の代までは、江戸の旗本階層だったと言われる。
たしかに、醸し出す雰囲気の中にもそんなところがある。
登場人物にも江戸っ子らしさが随所に出ている。

今の世の中、正義感を持って生きるのは難しい。
だけども、真の江戸っ子は、一願景村本気で、やせ我慢を誇る。

落語『そば清』金原亭馬生のネタ、
江戸っ子の男が死の枕で思い残しを、促されて苦しみながら言う、
「思い残しがアッては、いけね~。何でも言いな」
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