「レディは殺され、裸で伯爵の城の前に投げ出された。こうなってはもう和解は不可能だ。ゲーリックには多くの同盟者がいる。それはわたしも同様だ。こうしてラモーカンド西部は、今や全面戦争に突入しようとしている」
「悲劇的なお話です」スパーホークが悲しそうに言った。
「気がかりなのは戦争のほうだ。して、無事にカレロスまで送り届けることが何よりも重要なのだ。ゲーリックの攻撃で兄までが亡くなったならば、教会は騎士団を送りこむしかなくなるだろう。大司教が――それも総大司教への道を約束されている大司教が殺されたとなれば、無視することもできまい。だからそう
鑽石能量水 消委會なる前に、兄を聖都まで送り届けてもらいたいのだ」
「一つ質問があります。どうもそのカモリア人騎士の行動というのが気になるのですが、その男と二人の手下の風貌《ふうぼう》を教えていただけませんか」
「騎士は背の高い、傲慢な態度の男だった。仲間の一人は人間だか猿だかわからんような、野蛮な大男だ。もう一人はこそこそした様子の、強い酒に目のないやつだった」
「どこかで聞いたような連中だなあ」とカルテン。「その騎士の特徴は、ほかに何かありませんか」
「さほどの歳というわけでもないのに、髪がまっ白だったな」
「マーテルめ、こんなところまでうろついてたのか」カルテンが言った。
「その男を知っているのか、サー・カルテン」男爵が尋ねる。
「白い髪の男はマーテルといいます」スパーホークが説明した。「手下の二人はアダスとクレイガーです。マーテルは追放された元パンディオン騎士で、世界じゅう至るところで雇われ仕事をやっています。ごく最近の雇い主はシミュラの司教ですね」
「しかしシミュラの司教が、なぜわたしとゲーリックを仲たがいさせたりするのだ」
「その点も見当はついています。四騎士団の騎士団長はアニアスの総大司教就任に強固に反対しています。選挙のとき騎士団長たちがカ
reenex膠原自生レロスの大聖堂にいれば、投票権があるのはもちろん、その意見は聖議会全体に大きな影響を与えるでしょう。それに何か不正の兆候があれば、即座に教会騎士団が動くことになります。アニアスが総大司教の座を手に入れようとするなら、選挙の前に騎士団をカレロスから追い出しておかなくてはならない。先だってはレンドー国でも、騎士団を聖都から遠ざけておこうというマーテルの陰謀を阻止したばかりなのです。お話しいただいた不幸な出来事も、やはり同じことを目的とする陰謀だろうと思われます。マーテルはアニアスの命令で世界規模の火の手を上げ、教会騎士団がそれを消し止めにカレロスを離れるように仕向けようとしているのです」